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ろう者・難聴者の方や特別養護老人ホームでの支援~能登半島地震・被災地での活動④~

2024/08/08インストラクターより

3月から始まったタッピングタッチによる能登支援も4回目となりました。能登福祉救援ボランティアネットワークさんのコーディネートで、避難所やさまざまな施設でタッピングタッチをしています。

支援に訪れるインストラクターにとっても初体験、チャレンジの状況もありますが、事前に経験者や専門家に知恵を借りて準備をし、臨機応変に協力して対応しています。

7月に支援に行った4名のインストラクターの報告をお読みください。
過去の活動記録は、活動レポート(ブログ)被災地支援から読めます。

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タッピングタッチでの被災者支援 ~能登半島地震・被災地での活動④~

7月19日(土)、石川県能登町で活動しました。午前は能登就労支援事業所「やなぎだハウス」で体験会を、午後は「特別養護老人ホームこすもす」で職員の方対象の基礎講座Aとご入居者へのケアをしました。
今回は、仙台の猿渡英代子さん、兵庫の井上志保美さん、大阪の平由佳さんと、神戸の鈴木の4名で伺いました。能登福祉救援ボランティアネットワークの後藤さんがコーディネーターとして全面的にサポートしてくださいました。

  現在のやなぎだハウス

★「やなぎだハウス」について
やなぎだハウスさんは、今回の地震で施設が大きく傷み、利用者の方もご自宅が全壊するなど、大変な被害を受けたそうです。ろう者や難聴者の方をはじめ、何らか障がいをおもちの方が利用されていると伺って、ケアタッピングさせていただくことを考えていましたが、所長と打ち合わせできる機会があり、体験会をすることになりました。
施設は修復され作業も再開されていますが、今回は近くの公民館の一室を借りてくださり、ご利用者8名、職員の方3名、ボランティアの方2名(内1名はタッピングタッチの経験のある方で、体験会のサポートに来てくださいました)が参加されました。「5ステップ腕だけ散歩」と「基本形」、最後に「セルフタッピング」も体験していただくことができました。
音楽が聞こえない方がおられること、手話でのコミュニケーションが必要なこと等、どんな風に進めたらいいだろうか…と思っていましたが、事前にアドバイスをいただき、「視覚で補えるもの」として、進行が分かるような大きな紙を準備し、タッチのリズムはメトロノームのアプリを使ってみました。

★「特別養護老人ホームこすもす」について
こすもすさんは、ご入居者88名(特例入所者8名含む)と約30名のショートステイのご利用者が4フロアに分かれて生活されていました。
タッピングタッチのケアを今後のご利用者への関わり合いに活かしたいという希望をお伺いしていたので、前半をスタッフさん中心の基礎講座Aにし、後半をご利用者へのケアの時間にしました。講座には16名ほど参加され、講座後、フロアで私たちは18名ほどの方をケアさせていただきました。

では、活動された皆さんの感想をお伝えします。

<猿渡さんより>
今回、はじめて宮城県仙台市から参加しました。東日本大震災で多くの方々にご支援をいただき、いつか恩返しできればと思っておりました。午前中は、聴覚障がいの方もいらっしゃると伺っていた「やなぎだハウス」の皆様と公民館でタッピングタッチをやらせていただきました。鈴木さんが準備したタッピングタッチの資料は皆さんに分かりやすく、見ながらされている人もいました。
私は、床に座っていた一人の女性が気になり、声をかけ、ゆっくりタッピングをさせていただきました。少し聞こえていらっしゃったようで、もっとやって欲しいところはありませんか?という声かけに「肩」「首」など単語ではありましたがしっかりお返事いただいたのが嬉しく、またその存在を愛おしいものだと感じました。最後に「ありがとう」「またやって欲しい」と言葉をいただき、ああ気持ちよい体験をしてもらったのだなと安心しました。

午後は「特養こすもす」で職員の方々への研修のお手伝いをさせていただきました。さすが日頃ケアをされている専門職の皆さんですから、自然と二人1組になりタッピングタッチをしていました。そこで「ああ、〇〇さんにやってあげたいね」「〇〇さん、寝られないって言っていたからどうだろう?」と入居者の方をイメージしていただけたのは嬉しかったです。そして、職員の皆さんも気持ちよくなり「横になってやったらもっと気持ちいいね」とさらにお話しされていたのが印象的でした。

その後各フロアに伺い、4名の方にさせていただきました。感想が「あっさりしていいね」と言われ、タッチが弱すぎるのかと心配したら「スッキリする」「ほっとする」という意味だということを職員さんに教えていただきました。能登方言だそうで新鮮でした。
和やかな雰囲気、笑顔や笑い声が絶えないタッピングタッチでした。

<井上さんより>
私は今回の能登半島のボランティアに高齢者にもかかわらず、直ぐに参加を希望しました。阪神淡路大震災には神戸市東灘区に引越して7か月目に遭遇しました。震災後は数年間復興住宅の相談窓口にいました。震災での辛さや不安や住宅の相談などを聞いていました。

訪問先の「やなぎだハウス」では手話が出来ないと…と思いYouTubeを見て練習しましたが、覚えられずにいました。行ってみると、皆さん手話の出来ない私にも表情で会話して下さいました。
ゆっくり やさしく ていねいに の基本でタッピングタッチをしてみると、タッピングタッチを感じて下さったように思えました。
帰り際、1対1で会話しようとされた方に、通訳の方から「手話出来なくてごめんなさい」と伝えてもらいました。笑顔で「ありがとう」と手話で言って下さった、その笑顔が忘れられません。

「特養こすもす」では実母が特養に入所していましたので、雰囲気は分かっていました。
若いスタッフさん達の楽しそうな笑顔。今までの体験会、講座とは違った講座でした。
その後、入所の方5人にタッピングタッチをしました。
最初の男性は「吸い込まれるようだ。気持ち良かった」と言って下さいました。他の女性は「気持ち良かった。また来てね」と言っておられました。名残惜しく手を握ったままの方もおられました。ほとんどの方は途中居眠りされていました。

今回「やなぎだハウス」や「特養こすもす」で、今まで経験したことのない方達にタッピングタッチをさせていただきましたが、心の中から癒されて欲しいと思いながら、私自身癒されていました。
気持ち的に充実感があり、その後、疲れも出ず過ごせました。良い機会を与えていただき感謝します。

<平さんより>
今回「やなぎだハウス」と「特養こすもす」の職員さん、利用者のみなさんにお会いし、いちばん感じたことは「人(仲間)とのつながり」や「よりどころ」の大切さ、そして職員さんの心身の健康の大切さでした。

「やなぎだハウス」のみなさんは明るい大家族のような、なごやかな雰囲気で、互いに笑顔で楽しそうにタッピングタッチに参加してくださいました。被災され、半年以上も大変な避難生活を過ごされてきているなかで、ここは仲間と一緒に作業したり、気持ちを分かち合ったりできる場で、また戻ってこられた安心感がある、生活面でも心理面でも支えになる「よりどころ」なのだろうなと感じました。所長さん、支援員さん、県の聴覚障害者協会の平時からの活動と、地震発生後には安否確認したり、孤立しないように同じ避難所に集めたり、早期に「やなぎだハウス」の復旧にご尽力されたことなどを知って感銘をうけました。

「こすもす」の職員さんへの講座では、みなさんすぐに、とても上手にタッピングタッチされていて、さすがでした!職員さん自身も被災され、先日ようやく仮設住宅に入れたばかりという話や、離職しなければならなかった方も多かったため、まだ人員不足が続いていて、疲弊から、みんなイライラしていた時期もあったという話もうかがいました。

どちらの事業所も職員さんの心身の健康あってこそ、なので今回お伝えしたタッピングタッチをみなさんたち自身でケアやコミュニケーションにぜひ役立ててほしいなと思います。そして私自身も、被災地支援でタッピングタッチがどんな風に活用できるのか、効果があるのか、そのポテンシャルに期待しているところです。

<最後に>
今回、嬉しかったのは、どちらの施設でも、お互いにしあってもらうことができたことです。

「特養こすもす」では、講座のあと、スタッフさんが私たちと一緒に利用者の方にタッピングタッチのケアをされました。ウトウトと気持ち良さそうにされている様子や、「気持ちよかった」と笑顔で話される場面を共にすることができ、継続と広がりの可能性を感じました。また、自然に始められたスタッフの皆さんの柔軟性と吸収力には、すごいなぁと感動しました。

鈴木貴子(神戸、インストラクター)

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