タッピングタッチでの能登半島地震の被災者支援がインストラクターを中心に行われています。
3月の報告ー>能登半島地震の今・タッピングタッチによる支援
ボランティアコーディネータさんの「継続してボランティアが来てくれていることは、『忘れてないよ』という大切なメッセージを伝えているんです」という言葉が胸に響きます。
継続した活動への皆様の支援・ご協力をお願いします。
タッピングタッチによる支援活動に関心のある方は、事務局までお知らせください。現地に行く以外にも支援の方法はありますよ。
ー>https://www.tappingtouch.org/?page_id=87
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ー>https://www.tappingtouch.org/?page_id=71
現地の様子、タッピングタッチによる寄り添う支援について、3名のインストラクターの報告をお読みください。
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~能登半島地震・被災地での活動②~
5月25日(土)~26日(日)の2日間、2次避難所になっている加賀市のホテル「加賀百万石」のラウンジ(玄関入ってすぐの、ゆっくりできるロビーのような所)で活動しました。
25日は13:00~18:00まで、3名のインストラクターで、17名の方にケアしました。
26日は10:00~15:00まで、2名のインストラクターで、16名の方にケアしました。
この避難所は、被災地からは車で3時間ほど、距離でいうと150~200キロぐらい離れています。多い時は300人以上の被災者が避難していたそうですが、今は70人ほど滞在されているとのことでした。私たちの活動をコーディネートしてくれている能登福祉救援ボランティアネットワークは週に1日、ここで困りごと相談窓口を開いているそうです。
今回活動したのは、群馬の後藤三佐子さん、大阪の平由佳さん、そして神戸の鈴木の3名。朝いちばんに金沢駅で集合し、同ネットワークのコーディネーターさんと合流し、2日間通して送迎をはじめ、活動全般のサポートをしていただきました。その日の朝も、早速私たちのために大きなA1版の看板をお店で印刷して持ってきてくれました。
避難所というと、体育館のような所で雑魚寝、のようなイメージかもしれませんが、ホテルの2次避難所は客室で過ごされているので、お部屋から出て来てくださってはじめて、被災者の方々と出会うことができます。私たちが来ていること、タッピングタッチというケアを受けてもらえることをお知らせすることに工夫と時間が必要でした。
後藤さんと平さんも書かれているとおり、初日はなかなか苦戦しましたが、2日間滞在したことが功を奏して、リピーターの方も来てくださったり、より打ち解けてお話できるようになったと思います。
両日来てくださった方の言葉です。
「いいタイミングで来てくださった。前日、これから先の居住場所の件で計画変更のお知らせがあり、皆さん、気が立っていたと思う。言葉が荒くなっている方もいたので、ちょうどいい時に来てもらったと」と。
では、今回活動されたお二人の感想をお伝えします。
〈後藤三佐子さんより〉
活動場所の決定が直前で、被災者の方々へ前もってタッピングタッチ会場の連絡ができていなかったので、
・ラウンジにいらした方にお声がけをする
・お部屋近くまで行き廊下で会える方々にお誘いをする
・全室に入る放送を使わせてもらい、お誘いの放送をする
・お弁当配布場所にチラシを置く
・ケアを受けてくださった方にお知り合いを誘って来ていただく。
など、何とかお部屋から出て来てもらいケアさせていただきたい、少しでもお役に立ちたい、という思いでタッピングタッチをラウンジで始めました。
ケアを受けてくださった方々との会話をご紹介します。
・杖をつきながらゆっくり歩いて来られた年配女性が「この足では何もすることができないし、動けないけど、周りの人がこのラウンジへ行けば良い気持ちになるよ!と教えてくれたので来てみました。身体が温まり、リラックスできたよ」。
・タッピングタッチを少し始めただけの時点で、もう「温かいね〜」と。
・背中からひと通りやった後、「あったかいね!でも手術して腰から下の足が冷たくて〜」と仰ったので、太ももの上で一緒にタッピングし、膝から下をコアラの木登りの手法ですると「温まるね〜」と。
・「近くの人から、良いから行ってみれば〜と誘われたので来ました。主人が、そんなに良いんなら聞いてきてオレにやってくれ!と言うので少し教えてください」。ご主人は、部屋から外へは出たくないらしいです。そういう方こそ来て欲しかったのだけど、色々思うこともおありなのだろうし、奥様は、体験後とても喜んでお部屋に戻られました。
・年配の方が「家の屋根が落ちて潰れ、物置もペシャンコ!思い出の物は、置き場もなく大事にしていた着物もゴミとして処分するしかない。ここには、何も持ってこれないしね」と心残りのご様子で、「私も子ども達に元気なうちに片づけしておくように言われてましてね〜」と返すと「そうだよね!もう物は要らないね!年取ってて、片付けもできないから思い切って諦めるよ」と。
・ご近所から面会者がいらしていた方も。預かっていた物が、震災後、誰かに持ち出され無くなっていたとのこと。「非情なことをする人がいるんだよ!」。
・私たち(被災者)のために遠くから来ていただきありがとうね!とても良い気持ちだったよ
・「あったかいね〜、あなたの手には何か入ってるのかい?」「いえいえ、私たちは、こうして触れ合っているから、お互いに私もリラックスできているんですよ」 とお返事しました。
・とてもお元気な高齢男性。毎朝、ゲートボールをしているとのこと。ガラス越しの新緑の景色を見て、「ここ(2次避難所)は、海が無いからなぁ〜」とちょっと寂しそうに、ご自宅のことを思っていらしたようです。「これ、やってもらってると眠くなるよ」と、うっとりしてリラックスされてました。
他の方々もタッピングタッチをしながら、皆さん、色々な思いをお話しされました。そして、「いい気持ちで、あったかくなったよ。本当にありがとう」と言っていただけました。
コーディネーターさんや、被災された皆さんからのお話で、とんでもなく、恐ろしい体験をされ、半年近く経つのに2次避難所での生活が続いていて、まだまだ復旧していない所も多く、先の生活を案じられていました。来る前は、「どうお声がけをすれば良いのか、寄り添えるだろうか」と、とても心配していたのですが、2次避難所での1日半という短い時間の中で、タッピングタッチで身体が温まり、心もリラックスしていただき喜んでもらえて、私も嬉しい気持ちになりました。お一人ずつのお話が聴けて、 こんな私でもタッピングタッチを習得していて、少しは、お役に立てた、本当に来て良かったと思ました。被災地の皆様の一日でも早く落ち着いた笑顔のある生活に戻ることを心から願っております。
<平由佳さんより>
今回、私は5月25日大阪から日帰りでの参加でしたが、支援会場が、2次避難所となっている加賀市のホテルでしたので会場にも半日ほど滞在することが可能でした。
これまで、他の被災地では、がれき処理などには参加した経験がありましたが、タッピングタッチの支援は、一人では行動できないままで、でも今回は鈴木さんはじめ、素敵なインストラクターメンバーと一緒だったので安心して参加できました。
とはいうものの、それぞれいろいろなご事情があることが予想され、傾聴するときも、より配慮が必要だねと、緊張気味ではありました。
実際の場面では、私はまずは「最近のお身体の調子はいかがですか?」「夜は眠れてますか?」などからお尋ねし、タッピングタッチをしながらだったので自然と話もふくらみました。中には、話し始めは、「震災のことを見聞きすると気持ちが悪くなってしまうので調子がよくない」と緊張気味だった方も、後半、私の背中にもタッピングタッチをやってもらったりしたところ、終えた後に早速協会のホームページで動画を見てくださっていたり、よく眠れないという方に「今晩、いつもより眠りがよかったら、明日もいるので、お父さんも誘ってまた来てくださいね」とご案内していたら、翌日もリピートして会場にしてくださった方もおられたとのこと。また、「いいタイミングで来てくれた」と言ってもらえて、うれしく感じました。
コーディネータさんから「避難されている方々は、期間が長くなる中で、だんだん自分たちが見放されていると感じて、あきらめたり、憤ったりというような気持ちなっているので、継続してボランティアが来てくれていることは、『忘れてないよ』という大切なメッセージを伝えているんです、それがとても大事なことなのですよ」と言ってくださったことが、役に立ててるのかな・・と不安に思っていた私にはありがたく、ほっとしました。
私は1日目だけで、当日思うようには人が集まらなかったりしたので、帰路では、ああすればよかった、こうすればよかったという思いが出てきたのですが、現場に入ってみないとわからないこともあったので、欲張らず臨機応変にできることを対応し、できなかったことはまた次にいかしていきたいと思います。
ただ今回、2日間同じ会場で続けて開催できた点は、インストラクター側で前日からの修正や工夫も翌日に加わり、また1日目参加者から口コミもあったでしょうし、より親しみを感じながらタッピングタッチを体験・知っていただけてよかったのではないかと思います。
私自身、2011年の東日本大震災後の活動ニュースをきっかけにタッピングタッチを知って学んできましたが、今回またあらためて、本当にシンプルで効果的な、大切なケアだと実感しました。今回も色々な方の支援、協力があって、私が参加の機会をいただき、被災者の方々のやさしさにも触れ、とても貴重な体験をさせていただいたことに感謝しています。
〈最後に〉
遠方から、短期で、という形の支援になるため、現地に行って初めて分かることも多く、同行いただいたインストラクターのお二人や、能登福祉救援ボランティアネットワークのコーディネーターの後藤さんには、一緒に悩んだり、工夫したり、本当にサポートしていただきました。
私がケアさせていただいた方が、庭の鯉を見ながら「大きな鯉やなぁ。鯉も悩んだりするんかなぁ」とぽそりと呟かれたのが忘れられません。一人暮らしの方で、家の片付けをする気力が湧いてこない、ということを言われていました。タッチを続けていると「あんたの手は温かいなぁ。温かさが染み通ってくるわ」と言われて、最後は笑顔でお別れできました。
これからも息長く活動していければと思っています。
鈴木貴子(神戸)