2019年新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます♪ 
いかがお過ごしですか? ぼくは、平和で天候のよい正月を迎えられて、とても嬉しく感じています。

でも世界の各地では、災害、紛争、貧困、飢餓、病気など、さまざまな理由で苦しんでいる人々がたくさんおられます。手放しで喜べない気分ですが、その分、この新しい一年というものを、一日一日大切にして、社会に対して少しでも役立つ生き方をしたいという気持ちがふつふつと湧いてきます。たんに暦の上でのことですが、これまでを振り返り、感謝をもって、また新しい気持ちで始めることができるのは、やはりお正月のもつ力ですね。

グローバルには、今度こそ良い時代になるのでは、と人類が希望で迎えた21世紀に入って19年たちました。環境汚染の悪化、気候の変動、巨大化する自然災害、病気や貧困の蔓延、経済格差、避難民の増加、紛争や戦争の懸念など、どうみても厳しさが増しています。ハイテク化は加速的なスピードで進んでいますが、人間と人間性は置き去りになっているように思います。

「意識」とは、感情や共感性など、人間が人間らしく生きるためには一番大切なものでしょう。その部分が、不必要なもの、役立たないものとして無視されていく時代が来る、ということでしょうか。

もうすでに私たちの社会は、効率や結果が優先され、テストなどで良い点がとれるものや、新しい情報をいち早く受けとり、社会的地位やマネーを手にできるものばかりが「勝ち組」になっています。どんな気持ちで仕事をしているかとか、どのような生き方をしているか、などは社会的に意味を持たなくなってきているようです。

 

タッピングタッチも今世紀になってできたものですが、テクノロジーやシンギュラリティからはほど遠いものです。AIやハイテクに対抗しようとするものではありませんが、そのような時代だからこそ、人にとって大切な「意識」や「共感」といったことを大切にケアすることのできるタッピングタッチはとても大切に思えてきます。

京都大学総長で、ゴリラの研究で有名な山極寿一氏は次のようなことを言っておられます。

現代はインターネットなどによってあたかも相手と共通の体験ができたような効果を生み、一気に集団サイズが広大していく時代になりました。しかし、私たちは、そういうバーチャルな体験だけでは深い信頼関係を築くことはできません。身体と身体で共感する感覚的なコミュニケーション、「臭覚」「味覚」そして「触覚」を通して結びついていく共感力によって、信頼関係は築かれていくものなのです。それが、私たち人間が進化の過程で獲得してきた能力なのです。

(講演記録、みやざき中央新聞、第2771号より抜粋)

お互いのふれあいや共感があってこそ、信頼関係が築かれていくわけで、身体接触もケアし合うこともないところに、人間として大切なことは育たないということですね。関係もコミュニケーションもバーチャルになりがちな世界において、人と人が安心してふれあい、ケアするためのタッピングタッチの存在意義がそこにもありそうです。「意識」に加えて、「身体性」も私たちにとってはとても大切です。

そんなタッピングタッチですが、去年も「タッピングタッチの友たち」(去年のリトリート研修で使った言葉です)の活躍は素晴らしかったです。タッピングタッチがうまれて約19年ですが、インストラクターさん達の献身的な働きもあって、じわじわと人々の生活に役立ち、伝えられ、まさに「草の根」のように広がっている感じがあります。

まだまだ知らない人も多いので、本番はまだまだこれから!といった感じですが、土の下にはしっかりと根っこをはり、あちらこちらに芽を出している、そんなタッピングタッチの存在感と力強さを強く感じています。まだまだ土の中の根っこの方が多いかもしれません。でも、どんな天候でも、どんなところにも芽を出し、大きく育って実をつけていくことのできる存在感があります。

2019年の具体的なプランとしては、「タッピングタッチ健康プログラム」、「タッピングタッチ・フレンドシップ」、「ADVインストラクター」等があります。これからインストラクターのみなさんと協働しながら形にしていくものですが、ある程度ひな型はできてきました。関連の本や冊子も本腰を入れて作ります。うつや不安症で苦しんでいる人にもより役立つ為に工夫した、「タッピングタッチによるセルフケア・椅子バージョン」もご期待ください。

Italy, Toscany, Toscana, Firenze, Historic Centre of Florence, UNESCO World Heritage

そしてタッピングタッチに関する学術的な研究や発表に関しては、これまたじわじわと増えていますが、2019年はより実り多い年になりそうです。例えば、この2月には、甲南大学の福井義一さんと大浦真一さん(二人とも認定インストラクター)と連携して、神経生理の変化に関するリサーチをおこないます。秋には、イタリアのフィレンツェで開かれる国際心身医学会で、TT協会の祥子さんを含む四人で発表することになりそうです。

心理臨床領域からの発信としては、三重大学病院の中西健二さんや福島で活躍の冨森崇さんも認定インストラクターですが、6月に横浜で開かれる日本心理臨床学会の大会で共同発表する予定です。同大会では、これとは別に「心身二元論を超える<こころとからだ>と題した自主シンポジウムもおこない、心身両面のアプローチとしてタッピングタッチを紹介することに成っています。(「フォーカシング」で有名な池見陽氏や「覚醒する心体」の濱野清志氏もシンポジストです。興味のある方はぜひご参加ください。)

詳細などに関しては、追ってお知らせしますが、これまでみんなで育ててきたタッピングタッチとその活動を活かして、ますます人や社会に役立つものにしていきたいと思います。

なんだかまとまりのない長い「ご挨拶」になってしましましたが、ご了承ください。今年もみなさんとの素敵な出会いと協働によって、少しでもよい世界になるように努力していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。みなさまにとって、素晴らしい一年になりますように♪^^

追伸:2019年に、タッピングタッチに関する学術調査や学会発表などをする予定がある方はぜひお知らせください。いろいろな形で連携したり協働したりして、大きな流れを作っていきたいと思います。

それと、ぼくのアシスタントを募集したいと思います。新しいプロジェクトやリサーチ、本の執筆など、したいことが沢山あります。アシスタントしながら学び、タッピングタッチを国内外に役立てることで社会貢献したい方がおられたら、気軽にご連絡ください。日程や報酬などを含め、お互いにとって無理のないアレンジメントを模索したいと思います。場所は、主に大阪経済大学人間科学部のぼくの研究室を考えています。

いちおん(中川一郎)2019年 正月

ichiro@tappingtouch.org

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